2024.3「呼吸器系の調整法」講師:水谷浩二


 呼吸器系の調整においては、呼吸器を収める胸郭・肋骨の変位を整え、弾力性を回復させることが最も重要である。
 臨床においては、胸郭そのものに対する直接的なテクニックよりもコリレーション特性や経絡・経穴を利用した四肢の調整がまず初めに選択される。コリレーション特性では、足部と肋骨や咽喉、股関節と肋骨や鼻との関係が挙げられる。経絡では、肺経に加えて、表裏関係にある大腸経や胃経が主に用いられる。
 胸郭・肋骨に対する直接的なテクニックでは、肋骨の擦過法や横隔膜のリリース法などが有効である。


 臨床において呼吸器疾患を診る機会は「感染症によるもの」と「アレルギーによるもの」とに大別される。
 「感染症によるもの」では、咽喉の痛みや咳など回復期の長引く症状に対する調整や頻回な咳に付随して起こる横隔膜や肋間筋、腹筋の痛みに対する調整が多くなる。また、新型コロナウイルス感染症およびそのワクチン接種によるさまざまな後遺症に関しては、今後も注視していく必要がある。
 花粉症や喘息、好酸球性副鼻腔炎など「アレルギーによるもの」では、肩甲骨とのコリレーション特性などを利用して骨盤および頭蓋骨の歪みを整えるとともに「肝(解毒作用)」「副腎(Th5,7,9,11)」「骨(Th2,L2)」の調整が重要となる。