2023.12「神経系の調整法」講師:水谷浩二


 9月の講習会で紹介した頭蓋骨調整法や脳血管障害など中枢神経系(脳・脊髄)の疾患別調整法に加えて、神経操法や末梢神経系の疾患別調整法を取り上げました。

 頚部や腕神経叢に対する神経操法のテクニックは、椎骨の変位を整え頚部の可動域が回復するため、手の痺れなどの神経症状のほか寝違えなどにも応用できるテクニックです。

 末梢神経系(脳神経・脊髄神経)の疾患では、頭痛・三叉神経痛・顔面神経麻痺・胸郭出口症候群・肋間神経痛・坐骨神経痛などの調整法を紹介しました。


 神経系(脳・脊髄・末梢神経系)の調整には、頭蓋骨の変位、脊柱の彎曲、障害を起こしている椎骨の変位を整えることが必要です。さらに、脳への血流ならびに脳脊髄液の循環を改善させることが重要となります。頚肩部の調整等により脳への血流が促進すると認知機能に好影響をもたらすことから、認知症予防への効果が期待されると考えます。また、米国ボストン大学の研究(ローラ・ルイス)によると、睡眠中の脳内で発生する脳脊髄液のゆるやかな「大波」によってアミロイドβなどの毒素や代謝副産物が洗い流されていることが報告されています(2019年サイエンス誌)。このことから仙骨や環椎後頭関節へのテクニック等で脳脊髄液の流れを増大できれば同様の現象を起こせるのではないでしょうか。